近年、転職をすることに対するハードルがかなり下がってきています。
私の周りでも転職をする友人や同僚がちらほら。
一昔前だったら転職なんてありえないと思っていましたが、今ではどこにでもあることなんですね。
それを明確に数値として出した調査がありました。
総務省統計局が定期的に行っている転職者の動向調査です。
2019年には「増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~」という統計トピックスを打ち出しています。
下記のリンクは2023年12月18日付の調査となります。
https://www.stat.go.jp/info/kenkyu/roudou/r5/pdf/21siryou4.pdf
そこには2023年12月時点で過去最多となる転職希望者がいたようです。
調査の内容を踏まえて、最近の転職について考えていきましょう。
転職希望者はどんどん増えている!
2023年は過去最多の1035万人!
総務省の調査によると、2023年の転職希望者数はなんと1035万人!!
転職を希望する人がこれほどいるということに驚かされます。
調査での転職者と転職希望者の定義は、
「転職者」 ︓就業者のうち、前職のある者で、過去1年間に離職を経験した者
「転職等希望者」︓就業者のうち、現在の仕事を辞めて他の仕事に変わりたいと希望をしている者及び現在の仕事の他に別の仕事もしたいと希望している者
→就業者のうち、特定調査票A5「転職などを希望していますか」で「転職などを希望している」(「実際に仕事を探している」or「仕事を探していない」)を回答した者
転職希望者の中には、実際には仕事を探していない人も含まれているので、転職活動をしている人数という点ではもっと少ないと思います。
それでも1000万人を超える人が転職希望を持っていることになります。
転職者は2019年が過去最多の374万人
転職者は、2006年、2007年(ともに346万人)をピークに少しずつ下がってきていました。
というのも2008年にリーマン・ショックがありましたよね。
あのときは株価も大きく値下がりしたし、多くの企業が苦しい状況となりました。
そんな状況だから転職自体も難しくなっていたのでしょう。
2010年には300万人を割っていた転職者数ですが、2011年から緩やかな増加傾向となります。
そして2019年10月~12月期には374万人と過去最多!
2023年では325万人の転職者が存在します。
2019年に比べると少し減少していますが、それでも予想以上に転職者がいるのだと感じました。
男女別年代別に見てみると……
転職者数を見てみると、男性よりも女性の方が多いことがわかります。
2019年だと、
男性⇒165万人
女性⇒186万人
と女性の方が21万人も多くなっています。
また年代別に見てみると、圧倒的に15歳から24歳の若者が多いことがわかります。
働いている人全体を100としたとき転職をした人の割合を見てみると、
15歳~24歳⇒12。3%
25歳~34歳⇒7.8%
と若年層の転職の割合はかなり高めです。
これが35歳~44歳となると5%を下回り、もっとも稼ぐであろう45歳~54歳では約3%となっていました。
2023年の調査では、
転職希望者数 | 転職者数 | |
男性 | 約527万人 | 約148万人 |
女性 | 約508万人 | 約178万人 |
合計 | 約1035万人 | 約325万人 |
こちらでも実際の転職者は男性よりも女性のほうが30万人近く多い結果が出ています。
転職希望者数は男性のほうが19万人も多いのに実際の転職率で見ると女性が上なんですね。
ただ、元々男性の就労者数のほうが多いため、転職希望者の就労者から見た割合だと女性のほうが高くなります。
転職者比率だと男性は全体の4%、女性は全体の5.8%となっています。
転職希望者の割合 | 転職者比率 | |
男性 | 14.2% | 4.0% |
女性 | 16.6% | 5.8% |
正社員と非正規社員の違い
正社員と非正規社員でも当然ですが転職における割合は異なります。
以前から、非正規社員ほど正社員を目指して転職希望が強いのかなというイメージがありました。
たしかに統計を見てみても、非正規社員のほうが転職希望者が多かったのですが、近年はその割合にも変化が出ています。
2019年の後半を境に、転職希望者数では正社員が非正規社員を越えていきます。
2023年時点では、正社員が567万人で、非正規社員が420万人となっています。
そもそも、正社員のほうが非正規社員よりも人数が多いので、そこまでおかしな数字ではないのですが、正社員に占める転職希望者の割合と、非正規社員に占める転職希望者の割合は年々差がなくなってきています。
正社員だと、2013年時点では10%を切っていた転職希望者が2023年時点で15.7%まで増えています。
非正規社員だと2013年時点で23~24%ほどあったのが、2023年時点で19.7%まで落ちています。
転職は前向きな理由の人が多い
転職者数が増えてきているのはわかったと思います。
でも、転職の理由が会社がつぶれたとか、解雇されたではいい話ではないですね。
実際にどんな理由で転職にいたったのかという調査も同時に行われていました。
一番多い理由は、「より良い条件の仕事を探すため」だったようです!
これが圧倒的に多くて127万人!
自分の人生ですからね、より条件のいいところで働きたいと思うのは当然のことです。
中には会社都合による転職者も43万人います。
会社都合とは、会社が倒産したり事業所が閉鎖されたりしたケース、人員整理や勧奨退職といういわゆるリストラ、事業不振や先行き不安なんかも含まれています。
この会社都合は、リーマンショックの起きた翌年の2009年が一気に増えていて80万人を超えていました。
そこから徐々にその数を減らしてきて2019年には43万人。
少しずつ会社が力を取り戻したことによって、会社都合の転職は減り、逆に業績の良くなってきたほかの会社に転職したいと思う人が増えて来たようです。
2019年以降の詳細が出ていないのですが、ちょうどコロナ渦に入ったところなので、2019年から2023年頃までにかけては会社都合は増えている可能性もあります。
非正規雇用から正規雇用への転職が増加
最後にどんな転職だったのかという点で一つ。
一番多いのは正規雇用から正規雇用への転職です。
これが一般的な転職の形ですね。
でも一方で、非正規雇用から正規雇用へと転職することになった人もいます。
これは上記したような会社都合による転職などが原因の一つになります。
それ以外にも、家庭や育児の都合で仕事の時間を減らさなければいけない人がいることも考えられますね。
ただ15歳~54歳の転職者で見てみると、
非正規雇用⇒正規雇用 39万人
正規雇用⇒非正規雇用 30万人
と非正規雇用よりも正規雇用が9万人増えたことになります。
全体で見ればまだまだ少ない割合ではありますが、正規雇用が増えるというのは社会全体で見てもいいことだと思います。
おわりに
簡単ですが、総務省統計局の調査から、最近の転職の状況を紹介しました。
こうして見てみると、転職ってそこまでめずらしいものではなくなってきています。
友人の中には、すでに3回の転職を経験して、そのたびにステップアップしている強者もいます。
転職と聞くとネガティブなイメージを持つ人もいます。
でもそうではない。
転職とは自分のため、家族のためによりよい暮らしと充実した人生を見つけるためのポジティブなものだと思います。
昔は年功序列の終身雇用形態が守られていたので辞めること、転職すること自体がとても不利益なものでした。
でも今はより希望する仕事をすることができるようになっています。
必要であれば転職というのも人生の選択肢となるのでしょう。